【図解付き】2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの仕組みを解説
中小企業経営において、資金繰りは常に重要な課題です。
売上は好調でも、請求書の支払いサイトが長く、日々の運転資金に苦労されている経営者も少なくありません。
そのような状況を打開する一つの手段として、近年「ファクタリング」が注目されています。
ファクタリングには大きく分けて「2社間」と「3社間」の2種類が存在し、それぞれに特徴があります。
それぞれの違いや特徴について理解することが大切です。
株式会社デルタでは資金調達のコンサルティングも行っております。
本記事では、この2種類のファクタリングの仕組みとメリット・デメリット、そして自社に最適な選択方法について解説します。
ファクタリングとは
ファクタリングとは、企業が保有する売掛金(未回収の債権)を、ファクタリング会社に売却して即時に資金化する金融サービスです。
通常、売掛金は取引先の支払いサイト(30日、60日、90日など)に応じて入金されますが、ファクタリングを利用することで、その支払期日を待たずに資金を調達することができます。
銀行融資と異なる大きな特徴は、「融資」ではなく「売掛債権の売買」という点です。
そのため、銀行融資のように返済義務が発生せず、貸借対照表上の負債にはなりません。
また、企業の信用力よりも売掛先の支払能力が重視されるため、創業間もない企業や財務状況が芳しくない企業でも利用しやすいというメリットがあります。
中小企業にとって、ファクタリングは資金繰りの改善、成長投資のための資金確保、取引先の支払遅延リスクの軽減など、様々な場面で活用できる便利なツールといえるでしょう。
2社間ファクタリングの仕組み
2社間ファクタリングとは、「売掛金を持つ企業(売主)」と「ファクタリング会社(買主)」の2者間で行われるファクタリング取引です。
売掛先(債務者)には通知されず、取引が完結します。
2社間ファクタリングの流れ
- 売主企業が取引先に商品・サービスを提供
- 売主企業がファクタリング会社に売掛金の売却を申し込む
- ファクタリング会社が売主企業と売掛先の信用調査を実施
- 買取条件(手数料率など)の提示と契約締結
- ファクタリング会社が売主企業に資金を入金(売掛金額から手数料を差し引いた金額)
- 売掛金の支払期日に、売主企業が売掛先から回収した資金をファクタリング会社に送金
2社間ファクタリングでは、売掛先に対して債権譲渡の通知を行わないため、「ノンリコース型(償還請求権なし)」ではなく、「リコース型(償還請求権あり)」となるのが一般的です。
つまり、売掛先が支払不能に陥った場合、ファクタリング会社は売主企業に対して資金の返還を求めることができます。
2社間ファクタリングのメリット・デメリット
2社間ファクタリングは、その手続きの簡便さから多くの中小企業に選ばれています。
しかし、そのメリットを活かしつつ、デメリットを適切に理解することが重要です。
ここでは、経営判断に役立つ2社間ファクタリングの主なメリットとデメリットを解説します。
2社間ファクタリングのメリット
- スピード: 手続きが比較的シンプルなため、申込から入金までのスピードが速い(最短即日~数日)
- 取引先への影響なし: 売掛先に通知せずに利用できるため、取引関係に影響を与えない
- 柔軟性: 少額の売掛金でも利用しやすく、必要に応じて選択的に利用できる
- 申込みのハードルが低い: 3社間と比較して審査がやや緩やかな場合が多い
2社間ファクタリングのデメリット
- 高コスト: 一般的に3社間よりも手数料率が高い(平均して売掛金額の5〜20%程度)
- リスク: 多くの場合、売掛先の支払い不能リスクは売主企業が負う(リコース型)
- 信用情報への影響: 頻繁な利用は企業の信用評価に悪影響を及ぼす可能性がある
活用するべき状況
2社間ファクタリングは、特に緊急の資金需要がある場合や、取引先との関係を考慮する必要がある場合に適しています。
例えば、急な設備投資のチャンス、短期的な資金ショート、季節的な資金需要などの状況で効果的です。
3社間ファクタリングの仕組み
3社間ファクタリングとは、「売掛金を持つ企業(売主)」「ファクタリング会社(買主)」「売掛先(債務者)」の3者が関与する取引形態です。
2社間と大きく異なる点は、売掛先に対して債権譲渡の通知を行う点です。
3社間ファクタリングの流れ
- 売主企業が取引先に商品・サービスを提供
- 売主企業がファクタリング会社に売掛の売却を申し込む
- ファクタリング会社が売主企業と売掛先の信用調査を実施
- 買取条件の提示と契約締結
- 売掛先に対して債権譲渡通知を送付し、承諾を得る
- ファクタリング会社が売主企業に資金を入金(売掛金額から手数料を差し引いた金額)
- 売掛金の支払期日に、売掛先が直接ファクタリング会社に支払いを行う
3社間ファクタリングでは、「ノンリコース型(償還請求権なし)」が一般的です。
つまり、売掛先が支払不能に陥った場合でも、ファクタリング会社は売主企業に対して資金の返還を求めることができません。
売掛先の信用リスクはファクタリング会社が負担します。
3社間ファクタリングのメリット・デメリット
3社間ファクタリングは、コスト面で2社間より有利な場合が多いものの、手続きや関係性において異なる特徴を持っています。
経営者として3社間ファクタリングを検討する際は、以下のメリットとデメリットを踏まえ、自社の状況に合わせた判断が求められます。
資金調達の手段として慎重に検討しましょう。
3社間ファクタリングのメリット
- 低コスト: 一般的に2社間よりも手数料率が低い(平均して売掛金額の3〜10%程度)
- リスク移転: 売掛先の支払い不能リスクをファクタリング会社が負担(ノンリコース型)
- 信用補完: 大企業や官公庁などの優良取引先との取引であれば、自社の信用力が低くても利用しやすい
- 経理業務の効率化: 債権管理や回収業務をファクタリング会社に委託できる場合もある
3社間ファクタリングのデメリット
- 時間がかかる: 売掛先の承諾が必要なため、手続きに時間がかかる(1週間〜数週間)
- 取引先との関係: 売掛先に債権譲渡を通知するため、取引関係に影響を与える可能性がある
- 審査が厳格: 売掛先の信用力が重視されるため、取引先によっては利用できない場合がある
- 最低取引金額: 最低取引金額が設定されていることが多く、少額の売掛金には適さない場合がある
3社間ファクタリングを活用すべき状況
3社間ファクタリングは、資金調達コストを抑えたい場合や、売掛先の支払いリスクを回避したい場合に適しています。
また、長期的・定期的にファクタリングを利用する企業にも向いています。
特に売掛先が大企業や官公庁など信用力の高い先である場合に効果的です。
2社間と3社間の比較
ファクタリングの方式を選択する際は、2社間と3社間の違いを明確に理解することが重要です。
どちらが優れているというわけではなく、自社のニーズや状況に応じて最適な方法を選ぶべきでしょう。
ここでは両者の主要な違いを比較し、意思決定の参考になる情報を提供します。
スピード
- 2社間: 手続きが比較的簡単で、最短即日〜数日で資金化が可能
- 3社間: 売掛先の承諾が必要なため、1週間〜数週間かかることが一般的
コスト(手数料)
- 2社間: 一般的に手数料率が高い(5〜20%)
- 3社間: 一般的に手数料率が低い(3〜10%)
売掛先との関係性への影響
- 2社間: 売掛先に通知されないため、取引関係に影響を与えない
- 3社間: 売掛先に通知されるため、取引関係に影響を与える可能性がある
審査難易度
- 2社間: 比較的審査が通りやすい(売主企業の信用力も考慮される)
- 3社間: 審査が厳格(売掛先の信用力が重視される)
ファクタリング選択のポイント
経営者として適切なファクタリング方式を選択するには、自社の状況を正確に把握することが不可欠です。
短期的な資金ニーズだけでなく、取引先との関係性や将来的な資金調達戦略も考慮に入れる必要があります。
以下の選択ポイントを参考に、自社に最適な方法を見極めましょう。
ファクタリングを選択する際は、以下の点を考慮することが重要です:
- 資金需要の緊急度: 急いで資金が必要な場合は2社間、時間的余裕がある場合は3社間を検討しましょう。
- 売掛先との関係性: 取引先との関係を維持したい場合や、通知することで取引に悪影響が出る可能性がある場合は2社間が適しています。
- コスト許容度: コストを抑えたい場合は3社間、スピードや手軽さを優先する場合は2社間を選択するとよいでしょう。
- 業種特性: 公共事業を請け負う建設業などでは、官公庁向け売掛金を活用する3社間ファクタリングが有利なケースが多くあります。逆に、多数の小口取引がある小売業などでは2社間が適している場合があります。
ファクタリング利用時の注意点
ファクタリングは有効な資金調達手段である一方で、適切な業者選びと契約内容の精査が非常に重要です。
残念ながら、悪質な業者も存在するため、慎重な対応が求められます。
健全なファクタリング利用のために、契約前に以下のポイントを必ず確認しておきましょう。
ファクタリングを利用する際は、以下の点に注意しましょう:
- 契約内容の確認: 手数料率だけでなく、遅延時のペナルティやリコース条項など、契約の細部まで確認することが重要です。
- 悪質業者を避けるためのチェックポイント:
・金融庁や財務局の登録有無(貸金業者としての登録)
・実績や口コミの確認
・極端に高い手数料や前払い手数料を請求する業者は避ける - 契約書の内容が不明瞭な業者は避ける:手数料の確認方法: 手数料は単に料率だけでなく、計算方法も確認しましょう。例えば、「売掛金額の10%」と「額面から10%引いた金額」では実質的な手数料率が異なります。
まとめ
2社間ファクタリングはスピードと手軽さが魅力ですが、コストが高い傾向にあります。
一方、3社間ファクタリングはコスト面で有利ですが、手続きに時間がかかり、売掛先との関係にも影響します。
自社に最適なファクタリングを選択するためには、資金需要の緊急性、取引先との関係、コスト許容度などを総合的に判断することが重要です。
株式会社デルタでは資金調達のコンサルティングも行っております。
資金調達の手段としてファクタリングを効果的に活用し、健全な資金繰りと持続的な事業成長につなげていきましょう。