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建設業の資金巡りを改善!知って得する5つの資金調達術

建設業 資金調達

建設業界は日本経済の重要な基盤を支える産業でありながら、資金調達面では多くの課題を抱えています。

特に中小の建設会社では、大型プロジェクトの受注や設備投資、人材確保など事業拡大の機会があっても、資金面での制約から機会を逃してしまうケースが少なくありません。

建設業特有の資金繰りの課題として、季節性(冬場の工事減少など)、長期プロジェクトの資金負担、そして何より受注から入金までの支払いサイクルの長さが挙げられます。

下請け構造も多く、元請けからの支払いが遅れると資金繰りがさらに厳しくなります。

株式会社デルタでは資金調達のコンサルティングも行っております。

本記事では、建設業界特有の課題を解決する5つの資金調達方法と、実際に資金調達に成功した企業の事例、そして成功のためのポイントをご紹介します。

建設業界が直面する資金調達の課題

建設業は、他業種と比べて資金繰りが複雑であり、独自の課題を抱えています。

特に、受注から入金までの期間が長く、多額の先行投資が必要となるため、適切な資金調達戦略が求められます。

ここでは、建設業界が直面する代表的な資金調達の課題を解説します。

受注から入金までの期間が長い問題

建設業では、工事の着工から完了、検収、請求書発行、そして入金までに数ヶ月かかることが一般的です。

その間、人件費や資材費などの支出は継続して発生するため、キャッシュフローの管理が極めて重要になります。

資材・人件費の先行投資の必要性

資材価格の高騰や人材不足による人件費の上昇は、プロジェクト開始前の資金需要を増大させています。

特に大型案件では、工事着工前に多額の先行投資が必要となり、資金繰りを圧迫します。

担保や保証人に依存した従来型融資の限界

不動産担保や代表者の個人保証に依存した従来型の銀行融資では、すでに借入が多い場合や担保となる不動産が少ない場合、新たな資金調達が難しくなります。

建設業特有の季節変動と資金需要のミスマッチ

天候に左右される建設業では、繁忙期と閑散期の資金需要に大きな波があります。

特に年度末の工期集中時期には一時的に多額の資金が必要になる一方、冬場などの閑散期には収入が減少する傾向があり、この資金需要のミスマッチが経営を圧迫します。

建設業に適した資金調達法5選

建設業は工期が長く、完成後の代金回収までに時間がかかるため、資金繰りの課題を抱えやすい業界です。

そのため、事業の継続や成長のためには、適切な資金調達方法を選択し、安定したキャッシュフローを確保することが重要です。

以下に建設業に適した代表的な資金調達方法を5つ紹介します。

①ファクタリングの活用

ファクタリングは、建設業の売掛債権(工事代金の請求書など)を資金化する方法です。

通常、完成工事の代金回収までに2〜3ヶ月かかることが多い建設業では、工事完了後すぐに現金化できる点が大きなメリットです。

メリット

  • 審査が早く、最短で数日での資金化が可能
  • 不動産などの担保が不要
  • 銀行借入とは別枠での資金調達ができるため、資金繰りの選択肢が広がる
  • オフバランス取引となるため、財務諸表への影響が少ない

注意点

  • 手数料(一般的に1.5%〜15%程度)がかかるため、利益率との兼ね合いを検討する必要がある
  • 相手先によっては審査が厳しいケースもあるため、信頼できる業者選びが重要

②ABL(動産・債権担保融資)

ABLは、建設機械や資材、工事代金債権などを担保にして融資を受ける方法です。

建設業では高額な建設機械や重機を所有していることが多く、これらを担保として活用できます。

メリット

  • 不動産担保に頼らない新たな調達手段となる
  • 保有する機械や設備の価値を最大限に活用できる
  • 銀行などの金融機関からの融資のため、比較的金利が低い

活用事例と導入ポイント

多くの建設会社では、新規の重機購入時や大型工事の受注時にABLを活用しています。

導入にあたっては、担保となる動産の管理体制や評価方法を明確にすることが重要です。

ただし、減価償却が早い資産の場合、担保価値の低下にも注意が必要です。

③公的融資・補助金の戦略的活用

建設業向けには、日本政策金融公庫の「中小企業経営力強化資金」や各地方自治体の制度融資など、様々な公的融資制度があります。

また、省エネ設備投資やIT化推進などの補助金も有効に活用できます。

建設業向けの制度融資の種類

  • 日本政策金融公庫の「中小企業経営力強化資金」
  • 商工中金の「地域金融支援」
  • 各都道府県や市区町村の中小企業向け制度融資

補助金活用のポイント

特に建設業のIT化や生産性向上、省エネ設備投資などは補助金対象となることが多いため、定期的な情報収集が重要です。

申請の際は、事業計画の具体性や数値目標の明確化が採択率を高めるポイントとなります。

④プロジェクトファイナンス

特定の建設プロジェクトの将来キャッシュフローを返済原資とする資金調達方法です。

大型の開発案件や長期の工事案件に適しています。

メリット

  • プロジェクト単位での資金調達のため、企業本体のバランスシートへの影響が少ない
  • 大型案件でも資金調達が可能
  • リスクの分散が図れる

適した案件の特徴

安定した収入が見込める公共工事や大型の民間開発案件などが適しています。

プロジェクトファイナンスを活用するには、工事の採算性や将来キャッシュフローの安定性を示す詳細な事業計画が必要です。

⑤クラウドファンディング/私募債

新しい資金調達手法として、クラウドファンディングや私募債の発行も選択肢となります。

特に地域に根差した建設プロジェクトや社会的意義のある建設案件では、地域住民や取引先を巻き込んだ資金調達が可能です。

新しい建設プロジェクトへの資金調達手法

地域再生プロジェクトや歴史的建造物の保存・修復工事など、社会的意義のある案件ではクラウドファンディングが有効です。

また、取引先や関係者向けに私募債を発行することで、銀行融資に頼らない資金調達が可能になります。

成功事例と準備のポイント

成功事例としては、地域の景観を大切にした公共施設の建設プロジェクトなどがあります。

成功のポイントは、プロジェクトの社会的意義や地域への貢献度を明確に示し、支援者のメリット(リターン)を魅力的に設計することです。

事例紹介:資金調達成功企業

建設業をはじめとする多くの企業は、資金調達の選択肢を広げることで成長のチャンスを掴んでいます。

適切な手法を選び、迅速かつ柔軟に資金を確保することが、競争力の強化につながります。

ここでは、弊社クライアントで資金調達を成功させた企業の実例を3つご紹介します。

事例1:中小製造業A社様のファクタリング活用事例

A社は大型受注が増え急成長しつつも、深刻な資金繰り問題に直面していました。

銀行融資も困難な中、弊社に相談したA社は、ファクタリングによる解決策を提案されました。

大口顧客向けの売掛債権を活用し、約5,000万円の即時資金調達に成功。

これにより、新規設備投資を実現し、生産能力を30%向上させました。

結果として、売上高は前年比20%増加し、営業利益率も2%から5%へと改善。

弊社の支援により、危機を乗り越え、新たな成長戦略を描けるまでになりました。

事例2:IT企業B社様の銀行融資獲得事例

B社は新規プロジェクト立ち上げに伴い追加資金が必要でしたが、これまでの財務状況では銀行からの融資が難しい状況でした。

弊社に相談したB社は、財務体質改善と事業計画の見直しを提案されました。

弊社の指導のもと、B社は収益性を向上させ、堅実な成長計画を策定。

その結果、メインバンクから5,000万円の融資を獲得し、新規プロジェクトを無事に開始できました。

弊社のサポートにより、銀行との関係も強化でき、持続可能な成長への道筋が見えました。

事例3:地方の建設会社C社のM&A活用事例

後継者不在に悩むC社は、地域での存在意義を重視していました。

弊社は同じ価値観を持つ首都圏の中堅建設会社Z社を買い手として紹介。

地域密着の経営方針を維持しながら、Z社のノウハウを活用して公共事業の受注を拡大することに成功しました。

その結果、売上は40%増加し、地域の雇用も守られました。M&Aという選択肢が、単なる事業承継だけでなく、経営資源の強化と資金調達の両面で効果を発揮した好例です。

建設業の資金調達成功のための3つのポイント

資金調達を成功させるためには、適切な準備と戦略的なアプローチが不可欠です。

特に建設業では、資金繰りの特性を理解し、最適な方法を選択することが事業の安定と成長につながります。

ここでは、資金調達を成功させるための重要な3つのポイントを解説します。

1. 事業計画の精緻化と資金使途の明確化

資金調達の成功率を高めるには、具体的な事業計画と資金使途の明確化が不可欠です。

特に建設業では、工期や資材費の変動リスクも考慮した現実的な計画が求められます。

弊社では、建設業特有の視点から事業計画の精緻化をサポートし、金融機関や投資家に対して説得力のある提案書作成を支援しています。

2. 財務体質の改善と自社の強みの可視化

資金調達の前提として、財務体質の改善が重要です。

例えば、工事進行基準の導入による売上計上の適正化や、原価管理の徹底によるコスト削減などが効果的です。

また、技術力や施工実績、独自工法など、自社の強みを可視化して、金融機関に示すことも重要なポイントです。

3. 複数の資金調達手段を組み合わせたハイブリッド戦略

一つの資金調達手段だけに頼るのではなく、複数の手段を組み合わせたハイブリッド戦略が効果的です。

例えば、運転資金は銀行融資、設備投資は公的融資とリース、突発的な資金需要にはファクタリングというように、資金の用途や緊急性に応じて最適な手段を選択することで、資金調達の柔軟性と成功率が高まります。

まとめ:自社に最適な資金調達方法を検討しましょう

建設業における資金調達は、業界特有の課題を理解し、適切な手段を選択することが重要です。

本記事でご紹介した5つの資金調達法とそれぞれの特徴を参考に、自社に最適な方法を検討してみてください。

資金調達は専門的な知識と経験が必要な分野です。

株式会社デルタでは、中小企業の経営サポートとして、資金調達コンサルティングもしています。

資金調達でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

貴社の状況に合わせた最適な資金調達方法をご提案いたします。

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