自社の真の価値を知る ― 経営者が把握すべき企業価値の見方
中小企業の経営者にとって、自社の価値を正確に把握することは極めて重要です。
企業価値を理解することで、事業の成長戦略を練る際の指針となり、M&Aや資金調達の場面でも有利に交渉を進めることができます。
逆に、自社の価値を見誤ると、M&Aにおいて買い手との交渉で不利な立場に立たされたり、適切な投資を受けられなかったりする可能性があります。
株式会社デルタでは、中小企業の課題解決のひとつとして、事業再生や資金調達のコンサルティング、M&A仲介・アドバイザリーなども行っております。
本記事では、「企業価値とは何か」「自社価値を構成する主な要素」「価値を正確に把握する方法」を詳しく解説します。
企業価値とは何か
企業価値とは、企業が持つ経済的な価値の総称であり、売上や利益だけでなく、ブランド力や市場での競争力なども含まれます。
単に財務状況だけで企業を評価するのではなく、将来的な成長性や市場でのポジショニングも考慮されるため、多角的な視点が必要です。
また、企業価値は外部の投資家や金融機関にとっても重要な指標です。
資金調達や新規投資を検討する際には、自社の価値を的確に把握し、適切な情報を提示することが求められます。
例えば、企業がどれだけ安定した収益を上げているか、将来の成長が見込めるかといった点が評価の対象となります。
企業価値の算出方法にはさまざまな手法があり、企業の財務データをもとに数値化する方法もあれば、企業のブランド価値や人材の質といった非財務的要素を加味する方法もあります。
企業価値を正しく理解し、それを高めるための施策を講じることが、経営者にとって重要な課題となります。
財務的価値と非財務的価値の違い
企業価値を評価する際には、大きく分けて「財務的価値」と「非財務的価値」の2つの側面があります。
- 財務的価値
売上高、利益率、キャッシュフロー、純資産額など、数値として測定可能な価値 - 非財務的価値
ブランド力、顧客基盤、技術・ノウハウ、人材の質、企業文化など、数値化しにくい価値
財務的価値は、企業の経済的な健全性や収益力を示す指標として重視されます。
一方で、非財務的価値は、企業の競争力や将来的な成長の可能性を示す重要な要素です。
例えば、知名度の高いブランドを持つ企業や、特定の業界で独自の技術を有する企業は、財務指標が平均的でも高い企業価値を持つと評価されることがあります。
M&Aの場面では、財務的価値だけでなく、非財務的価値が買収価格に大きく影響を与えることがあります。
特に近年では、企業の持つノウハウや組織文化、従業員のスキルセットといった要素が、買い手企業にとって重要な価値となるケースが増えています。
経営者が陥りがちな自社価値評価の誤解
経営者が自社の企業価値を評価する際には、いくつかの誤解に陥りがちです。
第一に、売上や利益だけを基準に企業価値を判断してしまうことがあります。
確かに、財務状況は企業価値を示す重要な指標の一つですが、それだけでは企業の真の価値を十分に反映できません。
例えば、安定した顧客基盤を持つ企業や、独自の技術を持つ企業は、財務データだけでは測れない強みを持っている可能性があります。
第二に、「自社の技術は唯一無二だから高い価値がある」と思い込んでしまうケースです。
たとえ技術力が高くても、それを収益に結びつけるビジネスモデルがなければ、市場での評価は低くなります。
また、競争環境や市場の需要を考慮せずに価値を過大評価してしまうと、M&Aや資金調達の際に期待した評価を得られないことがあります。
第三に、企業価値を適正に評価するための客観的なデータや外部の意見を取り入れず、主観的な判断に頼ってしまうことです。
特に中小企業では、経営者自身が会社のすべてを把握しているという自負があるため、外部の視点を軽視しがちです。
しかし、実際の市場での評価は、経営者の認識と異なることも多いため、専門家の意見を取り入れることが重要です。
このように、企業価値の評価には多角的な視点が必要であり、自社の価値を適正に評価するために、財務情報だけでなく、非財務的な要素も含めた分析を行うことが重要です。
自社価値を構成する主な要素
企業価値を構成する要素には、大きく分けて「財務的要素」と「非財務的要素」があります。
財務的要素は数値として明確に評価できる指標であり、非財務的要素は企業の競争力や成長性を示すものです。
企業価値を高めるためには、これらの要素を強化し、総合的な価値を向上させる必要があります。
例えば、売上や利益を向上させるだけでなく、ブランド力や顧客基盤を強化することで、企業価値がより高く評価される可能性があります。
以下に、それぞれの要素について詳しく解説します。
財務的要素
- 売上高と利益率
売上が安定しており、利益率が高い企業は、収益性が高く評価されます。売上が伸びているだけでは不十分で、適切なコスト管理を行い、利益率を向上させることが重要です。 - キャッシュフロー
キャッシュフローが健全である企業は、資金繰りが安定しており、財務リスクが低いと評価されます。特に、営業キャッシュフローが安定していることは、企業価値を向上させるポイントとなります。 - 資産・負債のバランス
過剰な負債を抱えている企業は、財務リスクが高いと見なされるため、バランスの取れた財務構造を維持することが重要です。資産を有効活用し、不必要な負債を削減することで、企業価値を向上させることができます。
非財務的要素
- 人材
優秀な人材が定着している企業は、競争力が高いと評価されます。従業員のスキルや組織文化が企業の強みとなることも多いため、人材育成や働きやすい環境の整備が重要です。 - 技術・ノウハウ
独自の技術やノウハウを持つ企業は、競争優位性が高く、市場での評価も上がります。特許や知的財産を保有している企業は、M&Aの際に高い価値を持つことが多いです。 - 顧客基盤
長期的な取引関係を持つ顧客が多い企業は、安定した収益が見込めるため、価値が高く評価されます。リピーターの多さや契約の継続率なども、企業価値を測る指標となります。 - ブランド力
市場での知名度や信頼度が高い企業は、競争優位性があり、高く評価されます。ブランド価値は短期間で向上させることは難しいため、長期的な視点でブランディング戦略を進めることが重要です。
業界内のポジショニングと市場シェア
市場シェアが高い企業や、特定のニッチ市場で強みを持つ企業は、競争優位性があると評価されます。
競合企業と比較した際に、自社がどのような立ち位置にいるのかを把握し、競争力を強化する戦略を立てることが重要です。
将来性・成長性の評価方法
企業の将来性や成長性を評価するためには、市場の動向や技術革新の影響を考慮する必要があります。
新規事業の展開やDX(デジタルトランスフォーメーション)などの取り組みが、企業価値を向上させる要素となる場合もあります。
自社価値を正確に把握する方法
企業価値を正確に把握するためには、客観的な評価手法を用いることが重要です。
企業価値の算定方法にはいくつかの手法があり、それぞれの特性に応じて適切な方法を選択する必要があります。
企業価値算定の基本的な手法
- DCF法(割引キャッシュフロー法)
将来のキャッシュフローを現在価値に換算し、企業価値を評価する方法。成長性の高い企業に適しています。 - EBITDA倍率法
企業の営業利益(EBITDA)に業界平均の評価倍率を掛けて算出する方法。シンプルで使いやすい手法です。 - 時価純資産法
企業の純資産を時価評価し、価値を算出する方法。財務状況が安定している企業に適しています。
簡易的に自社価値を把握するチェックポイント
- 直近3年の売上や利益の推移は安定しているか?
- 主要な顧客との取引関係は継続しているか?
- 競争優位性のある商品やサービスを持っているか?
専門家への相談の重要性と選び方
企業価値評価には専門的な知識が必要なため、M&Aアドバイザーや会計士、コンサルタントに相談することが有効です。
経験豊富な専門家を選ぶために、過去の実績や得意とする業界を確認するとよいでしょう。
M&Aにおける企業価値の活かし方
M&Aを成功させるためには、自社の企業価値を正しく理解し、それを買い手に適切にアピールすることが重要です。
企業価値が明確になっていれば、適正な売却価格を設定しやすくなり、交渉を有利に進めることができます。
また、企業の魅力を強化するために、財務の透明性を高めたり、成長戦略を明確にしたりすることも、M&Aの成功につながります。
M&Aを検討するタイミングと準備
- 業績が好調で、事業拡大のために資金が必要なとき
- 後継者不足で事業承継を考えているとき
- 競争が激化し、他社との統合が有利と判断されるとき
買い手から見た魅力的な企業の条件
- 安定したキャッシュフローがある
- 市場で確固たる地位を築いている
- 人材や技術が充実している
まとめ
自社の価値を正確に把握することは、経営判断において不可欠です。
本記事のポイントを参考に、自社の財務・非財務的価値を見直し、M&Aや成長戦略に活かしていきましょう。
また、専門家の力を借りることで、より適切な評価と戦略が可能になります。
株式会社デルタでは、中小企業の課題解決のひとつとして、事業再生のコンサルティングやM&A仲介・アドバイザリーなども行っております。
今日からできる第一歩として、自社の強みと改善点を洗い出してみてはいかがでしょうか。