融資審査に通る決算書とは?~経営者が知るべき重要なポイントと準備のコツ~
事業を継続していくことはもちろん、さらなる成長を目指すためにも、資金調達は欠かせません。
特に、銀行や金融機関からの融資は、多くの企業にとって重要な資金調達手段となっています。
しかし、融資の審査において大きな判断材料となる決算書にて、企業の財務状況が細かくチェックされることは避けられません。
そのため、「決算書をどう分析すればいいのかわからない」「融資を申し込む際に何を準備すればよいのか不安」といった悩みを抱える経営者も少なくないでしょう。
課題を理解し、適切に対処することが、今後の業界の発展において極めて重要になると考えられます。
株式会社デルタでは、これらの課題解決のひとつとして、資金調達のコンサルティングなども行っております。
本記事では、決算書の基本から、金融機関が融資審査でチェックするポイント、そして融資を成功させるための実践的な対策について詳しく解説していきます。
決算書とは何か?融資審査との関係を理解しよう
決算書は、企業の経営成績や財務状況を明確に示すための重要な資料です。
融資審査では、決算書の内容をもとに企業の信用力や返済能力が評価されます。
特に「貸借対照表(バランスシート)」と「損益計算書(PL)」は、金融機関が重点的にチェックするポイント。
決算書の意味を理解すること、健全な経営を維持することは、融資の可否や条件に大きく影響を与えるでしょう。
それでは、具体的に、融資の際にはどのような項目が見られるのかを詳しく見ていきましょう。
貸借対照表の重要性と審査のポイント
貸借対照表は、企業が保有する資産、負債、純資産のバランスを示すものです。
融資審査では、会社の財務的な安定性や支払能力が評価されることになります。
資産と負債のバランスがカギ
貸借対照表では、短期間で現金化できる「流動資産」と、支払期限が1年以内の「流動負債」の比率がチェックされます。
この比率(流動比率)は100%以上であることが望ましく、これを下回ると、短期的な支払能力に問題があると判断されるおそれがあります。
また、会社の総資産に占める自己資本(純資産)の割合である「自己資本比率」も重要な指標。
一般的に、自己資本比率が20%以上であれば、財務の健全性が高いと評価されやすくなります。
固定資産と長期負債の関係
企業が長期間にわたって保有する資産(建物、設備、土地など)と、それを賄うための負債のバランスも審査の対象となります。
「固定長期適合率」が100%以下であれば、固定資産を長期資金で適切に賄っていると判断され、財務の安定性が高いと評価されます。
損益計算書の分析と融資審査でのチェック項目
損益計算書は、企業の経営成績を示し、売上や利益の状況が記録されています。
金融機関は、以下のような視点で損益計算書を評価します。
売上の推移が安定しているか
融資審査では、直近3期分の売上高の動向をチェックし、安定的な成長が見込めるかどうかを判断します。
売上が急激に減少している場合、経営にリスクがあるとみなされやすくなります。
利益率の動向と業界平均との比較
金融機関は、売上総利益率や営業利益率を分析し、事業の収益性を評価します。
それらが業界平均と比較して大幅に低い場合、経営の効率性や利益確保の戦略に問題があると判断されることがあります。
また、一定水準以上の利益が確保されているかも重要なポイントです。
特に「営業利益」が安定して黒字であることが、企業の経営健全性を示す指標となるでしょう。
融資審査における評価基準
融資審査では、数値をもとにした「定量評価」と、経営者の能力や事業の将来性を加味する「定性評価」の両面から判断されます。
数値的な審査基準(定量評価)
- 財務の安全性
・流動比率:100%以上が望ましい
・自己資本比率:20%以上が基準
・固定長期適合率:100%以下が適正 - 経営の効率性と収益性
・売上高営業利益率:業界平均以上
・総資本回転率:資本の有効活用を判断する指標
経営の姿勢や事業計画の評価(定性評価)
金融機関は、決算書の数値だけでなく、以下の要素も考慮して融資の可否を判断します。
- 経営者の事業に対する理解度
経営方針が明確で、将来の成長戦略がしっかりしているかが審査されます。 - 事業の成長性
業界の市場動向や競争環境を踏まえ、今後の売上見込みが適正かどうかを判断します。
融資を成功させるための対策
決算書の数値を見直し、融資審査をスムーズに進めるためには、しっかりとした準備が必要です。
財務改善のポイント
- 適正在庫の管理
過剰在庫を削減し、資金効率を向上させる。 - 売掛金の早期回収
入金サイクルを短縮し、資金繰りを改善する。 - コスト削減の徹底
固定費の削減や無駄な経費の見直しを行う。
審査の準備と金融機関との関係構築
- 決算書などの書類の整備
必要な資料を事前に準備し、審査時にスムーズに提出できるようにする。 - 金融機関とのコミュニケーション強化
定期的に経営状況を報告し、信頼関係を築く。
問題がある場合も、正直に説明し、解決策を示すことで信用を高める。
まとめ
融資審査では、決算書の数値だけでなく、経営者の姿勢や事業の成長性も重視されます。
つまり、事前に財務を健全化し、金融機関と良好な関係を築いていけば、融資を受ける際のハードルは充分下げられるということ。
資金調達の準備は出来るかぎり早めに始め、計画的に進めましょう。
必要に応じて、専門家の助言を受けるのも効果的な手段です。
課題を理解し、適切に対処することが、今後の業界の発展において極めて重要になると考えられます。
株式会社デルタでは、これらの課題解決のひとつとして、資金調達のコンサルティングなども行っております。