ファクタリングとでんさいの違い
中小企業の資金調達における重要ポイント
資金調達は中小企業にとって経営を安定させるための重要な課題です。
資金繰りを円滑にするための調達方法として、「ファクタリング」と「でんさい」があり、迅速かつ柔軟な資金調達を可能にする手段として多くの企業に利用されています。
この2つの方法は似たようにみえますが、その仕組みやメリット、デメリットには大きな違いがあります。
本記事では、両者の特徴や違い、そして選択の際に押さえるべき重要なポイントを分かりやすく解説します。
課題を理解し、適切に対処することが、今後の業界の発展において極めて重要になると考えられます。
株式会社デルタでは、これらの課題解決のひとつとして、資金調達に関するコンサルティングも行っております。
ファクタリングとでんさいは？基本的な定義
ファクタリングとでんさいの違いを明確に理解するために、それぞれの基本的な定義を説明します。
ファクタリングの定義
売掛債権をファクタリング会社に売却して、現金化する金融サービスです。
一定の手数料を支払うことで支払期日よりも前に資金調達を行うことができます。
でんさいの定義
電子記録債権を省略した名称で、従来の手形や売掛債権を電子化してオンライン上で取引できるサービスです。
事業者の資金調達の円滑化を、図ることを目的とする金銭債権です。
ファクタリングとでんさいの主な違い
ファクタリングとでんさいの主な違いを、さらに細かく理解するために、資金調達の仕組みから費用やリスク管理に至るまで説明します。
1.資金調達の仕組み
ファクタリング
- 売掛債権をファクタリング会社に売却して現金を受け取る仕組みです。迅速に売掛 債権を現金化することによって、資金繰りの改善を図ることができます。
でんさい
- 支払期日に自動的に銀行口座から納入企業へ振込が行われる仕組みで、従来の手形と異なり支払期日当日から資金を利用することができます。でんさい割引を行うことで、期日前に資金調達が可能です。
2.手数料と費用
ファクタリング
- 売掛金のリスクや契約形態によって手数料は変動します。手数料が高すぎると実際の現金化額が少なくなってしまうことで、資金繰り改善の効果が薄れてしまいます。手数料の内訳や複数のファクタリング会社で見積もりをとって比較して検討することが大切です。
でんさい
- 利用する金融機関ごとに手数料の設定が異なります。発行手数料・譲渡手数料・口座管理料などの複数の費用で構成されていて、利用頻度や金額に応じて適切な計画が必要です。手続き費用や割引料が安いため、ファクタリングと比べて費用を抑えることができます。
3.利用できる企業の範囲
ファクタリング
- 売掛金の信頼性や取引リスクを判断するために与信審査があり、売掛金や取引状況で適切と判断されてから契約がすすみます。売掛金の透明性や売掛先の信用力を確認することは重要で、信用リスクが高い場合などは利用が難しいことがあります。
でんさい
- でんさいネットの運営は、国内の法律に基づいているため日本国内に住所や営業拠点がある法人・個人事業主・国・地方公共団体が利用可能です。窓口の金融機関で審査が行われ、必要な要件を満たすことで利用することができます。
4.リスク管理
ファクタリング
- 償還請求権なし（ノンリコース）契約の場合は、債権をファクタリング会社へ売却することで、回収できなくなった債権の支払い義務がなくなり債権リスクを回避することができます。
でんさい
- 償還請求権ありで取引されるため、でんさい割引を行った後も支払期日に売掛先から支払いされなかった場合は、支払義務が生じます。
ファクタリングとでんさいのメリットとデメリット
資金調達を目的とする場合に、ファクタリングとでんさいのどちらを選択するか判断するために、メリットとデメリットを理解しておくことが大切です。
ファクタリングのメリット
- 資金繰り改善の即時性
- 貸倒リスク低減
- 信用情報に影響しない
ファクタリングのデメリット
- 割高な手数料
- 売掛先の業績や信用力が影響する
- 取引ごとに契約手続きが必要
でんさいのメリット
- 印紙代の費用削減
- 電子的な管理による事務負担の軽減
- 債権紛失や盗難の防止
でんさいのデメリット
- でんさいに登録のある取引先に限定される
- 未回収リスクが残る
- 審査通過の難易度が高い
ファクタリングとでんさい、どちらを選択すべきか？
ファクタリングとでんさいは、どちらも保有する売掛債権を譲渡して資金調達することは同じです。
しかしそれぞれの特徴や仕組みが異なるため、企業がファクタリングとでんさいのどちらを利用すればよいかは、資金調達の目的や経営状況によって決まります。
ファクタリングが向いている企業
仕入れや給与支払のために迅速な資金調達が必要な企業に向いています。
また、多くの売掛金を持っていて取引先への支払のために現金化の期日を早めたい企業に有効です。
手数料が発生するため、費用に見合った利用が必要です。取引先の信用力によって利用することが可能なため、取引先選びが重要になります。
でんさいが向いている企業
多くの企業との取引があり、でんさいネットを利用することで長期的な債権管理の効率化を図りたい企業に向いています。
利用するためには、取引先もでんさいネットに登録している必要があるため、事前に確認が必要です。
まとめ
短期的に現金が必要で、資金繰りを改善したい場合はファクタリングが適しており、長期的に債権管理の効率化とコスト削減を目指したい場合は、でんさいが適しています。
企業の状況によって、どちらがより効果的かを見極めることが重要です。
必要に応じて専門機関に相談しながら最適な方法を選択することをおすすめします。
課題を理解し、適切に対処することが、今後の業界の発展において極めて重要になると考えられます。
株式会社デルタでは、これらの課題解決のひとつとして、資金調達に関するコンサルティングも行っております。