資金調達で返済不要の方法4選!建設業経営者が知るべき事業拡大の資金確保術
建設業界で事業拡大を目指す経営者にとって、資金調達は避けて通れない重要な課題です。
特に大型公共工事への参加資格取得や設備投資、人材確保を考える際、「資金は必要だが借入による財務悪化は避けたい」と悩む経営者は少なくありません。
従来の銀行借入や事業融資では、返済義務が発生し、財務諸表の負債が増加してしまいます。
上場を視野に入れている企業にとって、これは大きなデメリットとなる可能性があります。
また、建設業特有の受注から入金までのタイムラグがある中で、毎月の返済負担は経営の自由度を制限してしまうリスクもあります。
そこで注目されているのが「返済不要な資金調達」です。
これらの方法を活用することで、財務健全性を保ちながら必要な成長資金を確保することが可能になります。
自社に最適な返済不要の資金調達方法について相談したい方は株式会社デルタにぜひお問い合わせください。
本記事では、建設業経営者が知っておくべき4つの返済不要な資金調達方法について詳しく解説します。
返済が不要な資金調達は4種類
返済義務のない資金調達方法は大きく分けて4つあります。
それぞれ特徴や適用条件が異なるため、自社の状況に最適な方法を選択することが重要です。
エクイティファイナンス
エクイティファイナンスとは、株式の発行により投資家から資金を調達する方法です。
投資家は資金提供の対価として株式を取得し、将来の企業価値向上による利益を期待します。
企業が発行する株式の種類は大きく分けて「普通株式」と「種類株式」の2種類があります。
普通株式は一般的な株式の形式で、発行によって得た資金は借入ではないため、返済の必要がありません。
ただし、既存株主の持分が希薄化して、経営権に影響を与える可能性があるため、慎重な設計が必要です。
一方、種類株式は普通株式の条件に加えて、株主に権利を付与、もしくは制限を課して発行する株式です。
付与できる権利の一例として「一定期間後に会社が株主の保有する株式を買い取る」といった取得請求権を設けることが挙げられます。
このような場合は企業側に資金負担が生じるため、注意が必要です。
建設業界では、事業拡大や新技術導入を目指す企業がベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から資金調達を行うケースが増えています。
特に、DX化や省力化技術の導入、環境配慮型の建設手法への転換などの革新的な取り組みを行う企業は、投資家からの注目を集めやすい傾向にあります。
年商3億円規模の建設会社であれば、数千万円から1億円程度の資金調達が可能な場合があります。
上場を視野に入れている企業にとっては、将来的なIPO(株式公開)への準備段階としても有効な選択肢です。
補助金・助成金
国や地方自治体が提供する補助金・助成金は、特定の事業目的や社会課題の解決を支援するために設けられた制度です。
建設業界では、省エネルギー設備の導入、ICT技術の活用、働き方改革の推進などを目的とした様々な制度が用意されています。
代表的なものとして、中小企業庁の「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」、国土交通省の「建設業働き方改革推進支援事業」などがあります。
これらの制度を活用することで、設備投資費用の一部を補助金で賄うことが可能です。
建設業特有の制度として、「建設業デジタル化推進事業」では、施工管理システムやドローン活用などのデジタル技術導入に対する支援が受けられます。
また、人材育成に関する助成金も充実しており、従業員のスキルアップや資格取得支援にも活用できます。
補助金・助成金の魅力は返済不要であることに加え、事業の正当性や将来性が公的機関に認められたという信頼性の向上効果もあります。
ただし、申請手続きが複雑で、採択されるまでに時間がかかる場合が多いため、早めの準備と専門家のサポートが重要です。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を調達する仕組みです。
建設業界では、地域活性化に貢献するプロジェクトや革新的な建設技術の実用化などでクラウドファンディングが活用されています。
購入型クラウドファンディングでは、出資者に対して完成した建物の利用権や記念品などのリターンを提供します。
一方、投資型クラウドファンディングでは、不動産開発プロジェクトの収益の一部を出資者に分配する仕組みが一般的です。
建設会社がクラウドファンディングを活用する場合、プロジェクトの社会的意義や革新性をアピールすることが成功の鍵となります。
例えば、環境配慮型の住宅開発や地域コミュニティ施設の建設などは、多くの支援者の共感を得やすいテーマです。
ただし、クラウドファンディングは資金調達額が比較的小規模になりがちで、大型設備投資には向かない場合があります。
また、プロジェクトが注目を集めない場合は目標金額に到達しないリスクもあります。
ファクタリング
ファクタリングは、企業が保有する売掛金をファクタリング会社に売却し、現金化する手法です。
資金を早期回収する手段のひとつであり、財務諸表上の負債も増加しないため、実質的に返済不要な資金確保方法として活用されています。
建設業界では、工事完成から代金回収までの期間が長く、その間の運転資金確保が課題となります。
特に大型公共工事では、工事完成から数ヶ月後に入金となるケースも多く、その間の資金繰りにファクタリングが活用されています。
ファクタリングの最大のメリットは、審査が比較的早く、数日から1週間程度で現金化できることです。
また、売掛先の信用力が重視されるため、自社の財務状況に不安がある場合でも利用できる可能性があります。
ただし、ファクタリング会社への手数料が発生するため、実質的な調達コストは高くなります。
また、売掛先にファクタリング利用が知られる場合があり、取引関係に影響を与える可能性もあります。
返済不要な資金調達を利用する際の注意点
返済不要な資金調達は魅力的ですが、利用にあたってはいくつかの重要な注意点があります。
まず、それぞれの手段におけるデメリットを把握する必要があります。
補助金や助成金は返済不要で利用しやすい反面、審査や支給までに時間がかかることもあります。
エクイティファイナンスでは株式の希薄化、クラウドファンディングではリターン提供コスト、ファクタリングでは手数料など、それぞれ異なる制約や負担が発生することを理解しておく必要があります。
次に、申請や契約に関する専門知識の必要性です。
特に補助金・助成金の申請書類作成や、エクイティファイナンスの投資契約書の内容理解には高度な専門知識が求められます。
不適切な申請や契約により、期待した効果が得られない場合や、後々トラブルに発展する可能性もあります。
また、資金調達のタイミングも重要な要素です。補助金・助成金は申請から採択、入金まで数ヶ月かかる場合が多く、緊急の資金需要には対応が困難です。
一方、ファクタリングは迅速な現金化が可能ですが、継続的な利用には限界があります。
さらに、各手法には適用条件や制約があります。補助金・助成金には事業内容や会社規模の要件があり、エクイティファイナンスには投資家の投資基準があります。
自社の状況と各手法の条件を十分に照らし合わせて検討することが重要です。
まとめ
建設業界での事業拡大において、返済不要な資金調達は非常に有効な選択肢です。
エクイティファイナンス、補助金・助成金、クラウドファンディング、ファクタリングという4つの方法は、それぞれ異なる特徴と適用場面を持っています。
上場を視野に入れた中長期的な成長戦略であればエクイティファイナンス、設備投資や技術導入であれば補助金・助成金、社会性の高いプロジェクトであればクラウドファンディング、短期的な資金繰り改善であればファクタリングが適しているでしょう。
ただし、これらの手法を効果的に活用するためには、自社の事業計画と財務状況を正確に把握し、最適な手法を選択することが重要です。
また、申請手続きや契約内容の複雑さを考慮すると、専門家のサポートを受けながら進めることが成功への近道といえるでしょう。
財務健全性を保ちながら持続的な成長を実現するために、これらの返済不要な資金調達方法を戦略的に活用することをおすすめします。
自社に最適な返済不要の資金調達方法について相談したい方は株式会社デルタにぜひお問い合わせください。